nautilus notes

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短文感想:映画「テルマ&ルイーズ」をみた

1991年公開の映画で、アカデミー脚本賞を受賞しているようです。 なにかしらロードムービーがみたくて、Amazon Primeビデオで300円くらいでレンタルしました。

思ったことをとりとめもなく書きます。内容に触れるので未見の方はご注意ください。

ストーリー

ボグラーの「英雄の旅路」に沿って書いてみると、こんな感じになる気がします(自信なし)。

* 日常世界:テルマはひどい夫ダリルに抑圧され、自分というものを全く出せずにいる
* 冒険への誘い:テルマはルイーズに初めての旅行に誘われる
* 冒険の拒否:テルマは旅行に行くことをダリルに言えておらず、本当に行けるか不安に思う(日常世界と同時)
* 賢者との出会い:ダリルがひどすぎてテルマは無言での出発を決意する
* 戸口の通過:テルマはルイーズと旅に出る
* 試練、仲間、敵:テルマは「銀の弾丸」で店員ハーランと出会う
* 最も危険な場所への接近:テルマはハーランに襲われる
* 最大の試練:挑発するハーランをルイーズが撃ち殺し、テルマは追われる身になる
* 報酬:追われる中でテルマはダリルと完全に決別。JDとのセックスと強盗で抑圧から完全に開放される
* 帰路:吹っ切れたテルマは警官をトランクに閉じこめ、むかつく運転手のタンクローリーも二人で撃ちまくって爆破する
* 復活:警官隊に包囲され、テルマは最後まで自由でいるために死を選ぶ(体制下における抑圧からの開放としての死)
* 宝を持っての帰還:谷底に向かってアクセルを踏み、楽しかったバカンスの思い出を永遠のものにする

テルマとルイーズ

序盤はテルマとルイーズはぜんぜん違う性格なのかなと思ったのですが、観終わった後はむしろ似た者同士なんだなと思いました。 ふたりともメチャクチャひどい目にあっていて、その「乗り越え方」のステージが違ってるだけなのあなあと

  • 旅に出るとき:ルイーズのほうが自由に見える(テルマはルイーズに憧れ、たばこを咥えてルイーズのマネという)
  • 強盗後:テルマが自由を手にする。ルイーズは最初から変化しておらず、完全に自由ではない(ルイーズはハーランを殺したことをうまく自己肯定できてない)
  • タンクローリー爆破:テルマとルイーズ、ふたりとも自由(タンクローリーを撃ちまくって爆破する)

ジミーの存在

どう考えればいいのか難しいなあと思ったのがジミー(ルイーズの恋人)とハル(二人に同情的な警官)の存在で、テルマとルイーズが旅の中で抑圧から開放されて自由になるっていう大筋を考えると、二人の存在はむしろ邪魔に思えます。

ハルに関しては「手をはねのけて自由を選ぶ」ということで噛ませ犬的な立ち位置なのかなと思ったのですが、ジミーに関しては結局どう考えればいいのかよくわからずでした。 テルマとダリル(テルマの夫)、あるいはテルマとJD(若いブラピ)との関係を強調してるとは思うのですが・・・

終盤でテルマが「ルイーズにはジミーがいるからハル警官の交渉に乗りたくなる気持ちはわかる」と言うが(そしてそれはおそらく図星だが)、結局ルイーズはテルマと一緒に旅を続けることを選ぶというシーンがあり、それを考えるとジミーもストーリーにとっての噛ませ犬的なポジションと考えるのがよいような気もしています。

紳士的な強盗について

JDが紹介してテルマが真似する紳士的な強盗をみて、伊坂幸太郎の「陽気なギャングが地球を回す」を思い出しました。かっこよくて好き・・・

たぶんよくある発想で何が何の元ネタってわけでもないと思うのですが、アメリカにはかつてフォレスト・タッカーという実在の銀行強盗がいて、彼が似たような手口で強盗をしていたようです。「さらば愛しきアウトロー」というタイトルで映画にもなっているそうなので、観てみたいなと思いました。

ビール

警官から奪ったビールが美味しそうでいいなあと思いました。