nautilus notes

最近は主にObsidianのこと

自分語りはブログやSNSで消化するのがコスパがよい

ブログやSNSで大いに自分語りしておいて、対面でのコミュニケーションでは聞き手に回るのが一番よいという話を書きます。

自分語りをしたい

言うまでもないことですが、前提として、ほぼすべての人間は自分語り、つまり自分の考えたことや思ったことを話すのが好きです。

世の中に大量に存在する「聞く力」的なビジネス本も、「耳を傾けてくれた人に心を開いたり好感を持つ(なぜならば自分の話をしたいから)」という心の動きを使ったものですし、飲み会の席やらインターネットのコメント欄を見渡すと「隙あらば自分語り」している人が多く目に付きます。

こんなブログをやっていることからも分かる通り、もちろんぼくも人一倍自分語りが好きで、いつでも油断するとついつい自分の話をしてしまいます。

人の話は聞きたくない

自分の話をしたいということは、すなわち他の人の話は聞きたくないということです。なぜならば自分の話をするのと、人の話を聞くのは同時にできないからです。みんなあまりにも人の話を聞かないので、「口が一つ耳が二つなのは話す倍は人の話を聞かないといけないから」とかいう決まり文句ができるくらいです。

もっとも、誰かの話を聞くのが好きな人もいますし、そもそも他の人に関心を持ったり話を聞いたりするのはとても楽しいことです。だから「聞きたくない」とまでいうと語弊があるのですが、世の中の「聞きたい気持ち」の総量と「話したい気持ち」の総量を比較すると、後者の方が割合としてかなり多いんじゃないかなと思っています。

ブログやSNSは「聞き手のかさ増し」がうまい

ブログやSNSは「聞き手のかさ増し」をうまく実現することで人を集めているとしばしば感じます。

対面でのコミュニケーションだと、自分語りの時間には上限があります。

  • 例えば二人グループで平等に自分語りをすると、「50%は聞いている時間、残りの50%は話している時間」になります。
  • 同様に、三人グループで平等に自分語りをすると、「67%は聞いている時間、残りの33%は話している時間」になります。

要は、それぞれの人は最大でも50%しか自分語りできず、集団の人数が増えればその割合はどんどん低下します(もちろん実際はずっと自分の話をすることも可能ですが、あまり幸せな結果にはならないと思います)。

一方で「90%話していて10%聞いている」が実現されているのがSNSやブログです。
1. そもそも一回書き言葉を経由することで「話すのは長時間必要で、聞くのは一瞬」が実現されている
2. 実際は大して誰も見ていないにも関わらず、不思議と「聞いてもらった感」を誰しもが感じている

「聞き手のかさまし」として理想的なのはたぶん1なのですが(生産的なので)、文章を書く側がつかれるのが欠点です。SNSは2が強くて、文章をがんばって書く必要すらないので、魔法のようです。

ツイッターの場合

例えばツイッターだと、特にヘビーユーザーのコミュニティでは脳から直に出てきたようなツイートも多く(音声入力の場合さえそこそこあると思います)、その場合は1は効いてきません。

しかし、お気に入りやリツイートなどの反応がたまに返ってくるので、ツイートするだけで「なんとなくみんなに話を聞いてもらえた感」があり、満足することができるわけです。もちろんお気に入りやリツイートをしているのは割合としてはごく一部ですし、その手間も一瞬なので、かなりコスパがよく「聞き手のかさまし」が行われていることになります。
最近UIのアップデートで「何回そのツイートが見られたか」という数値が表示されるようになったようですが、これも完全に「聞き手のかさ増し」を狙ったものだと思います。タップする必要もなく、おそらくほとんどまともに読んでいなくても数値はカウントアップされ、「聞いてもらっている感」はますます強くなります。

はてなブログの場合

はてなブログの場合は、(割と考えながら書いている人が多い気がするので)2ではなく1が効いている気がします。つまり「自分語りの場としては有効だけど、文章を書くのはちょっとめんどくさいね」という感じです。

その代わり、はてなブログ以外(検索とか)からの流入があって、そういう人は「純粋に聞いているだけの人」なので、コミュニティ内の「他の人のブログをみに行く仕組み」が弱くても(つまり、はてなブログの内輪内で「人の話を聞く」ことをしなくても)サービスとして成立するようになっているんだろうなと思っています。

要は何が言いたいのかというと

SNSやブログでもなんでもよいので、コスパのよい仕組みが準備されているところで大いに自分語りして、対面のコミュニケーションでは自分の話はそこそこに、相手の話を聞くことに注力するのが一番コスパがよいなと感じたという話でした。